「なっちゃんは、何か買う物はないの?」

「う~ん。今のところは何も・・・」

「そっか。
じゃあ、ちょっと疲れたからあそこの喫茶店でお茶にする?」

「うん」

と私たちは近くの喫茶店に入った。

「いらっしゃいませ。
ご注文はお決まりでしょうか?」

「えっと・・・
じゃあ・・・僕はアイスコーヒー1つとシフォンケーキで。
なっちゃんは?」

「私は・・・ダージリンとシフォンケーキで」

と注文していると―――

「あれ?もしかして、楢井?」

と声をかけられた。

「え・・・?」

と記憶をめぐる。

「もしかして・・・坂田雪音(さかた ゆきね)君?」

「久しぶりだなぁ!元気だったか?」

「う、うん!」

「どうなんだ?学校は?」

「えっと・・・すごく楽しいよ?
ここにいる真君とすごく仲良くしてもらっていて、そのおかげか友達もできたの・・・!!」

ていうか、この子こんなに私と話しかける子だったっけ?

「―――で?この子は、誰なの?」

と不機嫌そうな真君がわざと話のなかに入ったような口調で話しかける。

「えっと・・・この子は、坂田雪音くん。小・中学校のときのただのクラスメイト。
雪音くん。この子は早見真君。私の同じクラスで大切な友達なの」

「どうも・・・」

「どうも、初めまして。坂田くん。
僕はなっちゃんの大切な大切な関係の早見真です。どうぞよろしく」

と、笑顔で挨拶をするが、聞いているこっちにしては嫌味な自己紹介に聞こえる。

「うん。
てなわけで、坂田君は早く仕事に戻った方がいいよ。じゃあね」

と、真君は雪音君を追い出すかのように雪音君の背中を思い切り押した。