「……、」


所謂、私の追っかけに果たして彼はどんな反応を示すのか。

ゴクリと、喉が鳴るのを止める術などない位、私はひどく興奮していた。

すると、リビングに先に到達していた桜庭准教授は、本棚に並ぶ問題のファイルをまじまじと眺めていた。


「——光栄だな。自分のゼミ生に、これほどまでに熱心に研究されていたとは、」


「私、先生の思考が好きなんです」


「俺の思考、?」


「はい。正直、先生の容姿だとかはどうでもいいんです」


「ほう。……続けて、」


「先生の独特なものの見方が、ひどく私を興奮させるのがいけないんです」


「……、」


「私、先生の元で学びたくて、今の大学を選びました」