「ふふ、ごめん。ちょっと化粧室行ってくるね」


と、そこで物理的に会話を切って離席する。

会費を事前に徴収されていたことに感謝しつつ、私はそのままそっとお店の人に断りを入れ、外に出た。


「(……駅まで歩いて酔いを覚まそうかな。)」


と、ややふらつく足で歩き出そうとした時だった。

後ろから扉を開閉する音が響き、とっさに振り返ってしまう。

すると今まさに私と同じく、会を抜け出してきたらしい人物と視線が交わった。


「……桜庭准教授、?」


酔いのせいか、普段なら躊躇してしまう場面でも、今ならすんなりと口に出せた。


「(……お酒の力って凄いな。)」


そんな呑気なことを考えていると、桜庭准教授が口を開く。