「ううん、ありがとう」


きっと人の輪に囲まれる事に慣れきっている彼の事だから、一人ポツンとぼっちを極めていた私を哀れんで話しかけてくれたのだろう。

モテる人って、こういう気遣いがさりげなくできちゃうからモテるんだろうな。

場に溶け込めない浮いた人間にさえ優しいだなんて、出来た人だなと感心する。


「そう言えば、葉月さんって出身どこなの?」


「九州地方の出身だよ」


その為、否応なしに一人暮らしがこの春から始まってしまったわけだ。


「え、そうなの‼︎?じゃあ、方言とか話せるの?」


「う、うん。むしろ方言とか出ちゃってたら恥ずかしいな」


「え‼︎そんな事ないよ‼︎俺、方言とか話してる女の子可愛いなって思うしっ!」