「全員グラスは行き渡ったな?……んじゃ、かんぱ〜い!!」と言う幹事の音頭にならい、グラスを掲げ、乾杯と復唱する。

何ともそれぞれの思惑が交差する会というのは、見ていて少しだけ愉快だった。

純粋に友達を作ろうと必死な子もいれば、とにかく男子ウケを狙う女の子、あわよくばを期待してお持ち帰りできる子を探す男の子。

そして中でも一際賑やかな輪を作るのが、「桜庭先生」と猫撫で声が飛び交う女の子の群れと、それをサラリとかわしていく桜庭准教授であった。

本当にあの人はモテるのだと、再認識するには十分だった。

だから彼が居ることによって、あわよくばを期待する男の子達は、もれなく撃沈してしまったらしく、今では飲み比べ大会が勃発している始末である。