そして、彼自身その自分の特性をよく活かしていた。

もちろん中には、彼を批判する声もあるのだろう。

だけど、そんな事を気にした様子のないこの飄々とした態度が、人を惹きつけて離さない。

気づけば彼の声に、目に、仕草に魅了されてしまうのだ。

高大連携プログラム参加後の翌年、私は高校三年生となり、その年の受験で無事第一志望であったその大学の合格を果たした。

そして大学進学後、一年生でのゼミ選択では念願叶って、「法と人権」について研究を進める、桜庭准教授のゼミに入った。

ようやく憧れ続けた桜庭准教授との対面を果たした私だったけど、その人はまるであの本を書いた著者だとは決して思えない様な――最低な男だった。