普段なら絶対、休憩なんて取らずに、ほぼぶっ通しで集中を切らす事なく、机に向かっている男が何を言う。


「俺がわざわざ手加減してやったのに、……呆れた奴だ。そんなに俺が欲しいなら、欲しいと初めから乞えばいいものを」


革張りの座り心地の良さげな椅子から立ち上がると、すらりと長い足がこちらとの距離を一気に詰める。


「こんな事なら腰が立たなくなるまで、抱き潰しておけば良かった」


「な、な……何言って、」


「ん?どうした?……物足りないって顔してるな、」


「し、してませんっ」


目の前の端正な顔が意地の悪い笑みを一層、色濃くし、繊細そうな長く白い指先がこちらに向かう。