「何一人で、百面相してるんだ、?」


びくりと肩を揺らした私に、面白い玩具でも見つけたと言わんばかりの人の悪い笑みを見せたこの男の思考が、手に取るように分かってしまう自分が嫌だ。


「な、何も……、」


すでに自分の顔が真っ赤な事は、鏡を見なくても明らかなのに、往生際の悪い私はそれでもしらばっくれる。


「ふーん。……当ててやろうか、?」


喉がゴクリと音を鳴らし、手の中は既に汗でびっしょりだった。

そんな私にできる悪あがきは精々、話を逸らそうとする位。


「け、結構です。それより……さ、さ、作業に戻られなくていいんですか、?」


我ながら、自分のどもり様が情けない。


「作業に飽きたから一時休憩だ」


「……あ、飽きたって」