君が光り輝くために僕は影になる。
君が、輝いて生けるのであれば、僕は影として生きていく。

苦にならない。

いつからそんな風に思ったのだろう。

僕の生い立ちと君の生い立ちは似ていた。

暗い家庭、大人の汚さ。

それでも、君と僕は違っていた。
君はそんな暗く重い世界の中にいるにも関わらず、いつも輝いていた。

なんでなんだろう。

きっと君は僕より強いんだろうね。
弱さを認めて強くなったんだね。

僕には出来ない。
弱さを認めるのが恐いんだ。

穏やかな光が欲しいと思っている中で、本当はその光は恐いと思っている。
その光に僕が透かされてしまいそうで、正体がバレてしまいそうで、こわいんだ。

大した正体じゃない。

ただ、ただ 君が好きで 君のために何かできたら と考えている心。

君はあまり人に甘えたりしない。
だから、僕はそっと察して、君が輝くように影になるんだ。

それを君に感謝して欲しいなんて思ったことはない。

僕の糧。

だから、何も望まないよ。

僕の代わりに、僕の分も輝いてくれさえすれば・・それでいいんだ。

交わえない この距離。

それは僕が影で君が光の役だから。

交わってしまってはいけないんだ。

でも、一体になっている。

違う?



君が笑って 輝くために 僕は自ら、影になり、じめじめした位置につくよ。


おかしな、いびつな 不幸な愛。

人はそう言う。
僕はそうは思わないよ。


             :柴崎コウ 影を聞きながら: