なるべく二人の思い出に近い場所に就職をして、月命日には必ずお参りにも通った。

忘れてないよ、と報告の意味も兼ねてたから、順番がきたら迎えに来てね…って感じで、それまではお墓を守り続けていくからね…って思ってた。

だけど……



(どうしよう……今は目の前にいる人が大事だよ……)


亡くなった人達以上に大切な人が出来るなんて思わなかった。

出来ないようにわざとしてきたところもあったけど、でも、彼は私のそんな殻を破って侵入してきた。

殻の中で閉じ籠り、明日を見ないで生きてた私を抱いて温もりをくれて、明日を共に生きようとしてくれる。

私や家族が大事にしていたものを再生までしてくれて、この場所に来れば、いつでも会えるようにもしてくれた。

それには本当に感謝もしてるし、そんな彼のことが何より大事になってる。

離したくもないし、離れたくもない。
無くしたくないから、此処に居て…と願いたいけど……


(そんな我儘……言えないよ……)


この人は都会で生まれ育ってきたんだ。
大きな会社の次男とは言え御曹司で、やるべき仕事もあるし、立場だって大事にしないといけない。