「信じられない…。再生出来るなんて…」


だけど、やっぱり信じたい。
人の命は戻ってはこないけど、桜はまたこの家と共に息づくのなら__。



「愛花……」


彼が私の名前を呼ぶ。
その名付けの元になった桜に、私はまた出会えるんだ。



「ありがとう!」


ぎゅっと彼のウエストに腕を回して抱き付いた。
まさか彼が其処まで気にしてるなんて思いもしなかった。

あの初対面の日に、私はただ此処へ怒りを込めて怒鳴り込みに来ただけなのに。



「嬉しい!本当に」


またあの桜がこの家と共に時を重ねる。
形は変わっても、人がどんなに亡くなっても、朽ち果てるまで此処にある__。



泣きながら顔を上げて笑う。
すると、彼の目頭に涙の粒が光った。


「俺はこの家で愛花が笑う姿が見たかったから嬉しい…」


泣き声になって言うもんだから更に泣ける。
だけど、私は一生懸命にそれを堪え、彼の為に笑顔を見せ、もう一度しっかり、「ありがとう」とお礼を言った。

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