「そう、かな。苦手と思われてる気しかしないんだけど」
「ほんとに苦手だと思ってたら、まず話さないからね。春ちゃんって、好き嫌いはっきりしてるからさ。二人の姿を見て、桃ちゃんになら春ちゃんを任せられるって思ったんだ。だから、うまくいけばいいのになぁってね」
「……っ」
瑠夏ちゃんは水野君の気持ちを知らないのかな。多分きっと、私の予想が正しければ水野君は瑠夏ちゃんのこと……。
だから瑠夏ちゃんにそんなことを言われると、とても複雑な気持ちが込み上げてくる。
私が水野君の心の中に入る隙間なんて一ミリもないのに、瑠夏ちゃんは……。
「桃ちゃんは春ちゃんのことどう思ってる?」
「そ、それは……」
ううっ、瑠夏ちゃんって意外とズバズバ聞いてくるんだね。
「なんとも思ってねーよな」
背後に人の気配がしたかと思うと、低い声が降ってきた。思わずギクッとした。振り返らなくても、その声が誰のものなのかは一目瞭然。
水野君は私たちの間を裂くように真ん中の空いたスペースに座ると、たしなめるような口調で瑠夏ちゃんに言う。
「なに変なこと言ってんだよ」
もしかしなくても、聞かれてた?
「えー、変なことじゃないじゃーん」