「あははっ、そんなことないよー! なんとなく雰囲気が似てるんだよ。だからかな、桃ちゃんといるとすごく居心地がいいのは」

褒められるようなことはなにもしていないはずなのに、瑠夏ちゃんは私のことを蒼君に似てると言う。

そういえば、水野君にも言われたな。

そんなことを思いながら、瑠夏ちゃんに笑顔が戻ったことにホッとする。

「じゃあ私の話はおしまーい。次は桃ちゃんね」

「えー! 私……?」

言わなきゃダメ?

瑠夏ちゃんは話してくれたんだし、言わないのはどうなのかな。でも、水野君のことをよく知ってる瑠夏ちゃんに、水野君のことは言いたくない。

「じゃあ、聞き方を変えるね。春ちゃんのこと、どう思ってる?」

——ドキン

「ど、どうって言われても……」

それを答える方が気まずいんですけど。

素直に好きだと言えない。だって瑠夏ちゃんは水野君の幼なじみだし、なんとなく恥ずかしいというか。

知られたくない、この気持ち。自分の中でもまだうまく整理ができなくて、瑠夏ちゃんに対して嫉妬に似た感情を抱いているなんて悟られたくない。

「電車で一度会った時にね、春ちゃんが桃ちゃんに対して、すごく素の顔で接してたからビックリしたんだよね。春ちゃんって、元からクールなところがあるんだけど、最近では人を寄せつけないようになっちゃってたから。でも、桃ちゃんといるところを見て安心したんだ。きっと、春ちゃんも桃ちゃんといて安心してるんだと思う」