クスクスと明るく笑い飛ばす瑠夏ちゃん。

保護者だと思ってるのは、瑠夏ちゃんだけだと思うよ。

転ぶのを心配しているのもあると思うけど……。

水野君は瑠夏ちゃんのことが大事だから、男の子に声をかけられないか心配で心配でたまらないんだよ。

瑠夏ちゃんのお願いを聞いて、苦手な私を花火大会に誘っちゃうくらい瑠夏ちゃんのことを想っている。

改めてそれを突きつけられて、なんだか苦しい。せっかく誘ってもらったのに、同じ空間にいるのがツラい。

水野君がどれだけ瑠夏ちゃんのことを想っているかを知るのが、こんなにも切ないだなんて知らなかったよ。

それから他愛ない話をしていると思った以上に時間が経っていたらしく、すっかり日が沈んで空が藍色に染まっていた。

水野君、遅いなぁ。瑠夏ちゃんと二人きりでいるのは、なんとなく気まずい。だけど、三人でいるのはもっと気まずい。

瑠夏ちゃんを大事に想っている水野君の姿を見たくない。

「桃ちゃんは好きな人いる?」

「えっ?」

思わずドキッとしてしまった。まさか今この話題が出てくるとは、予想もしていなかった。

「いきなりだよね、ごめんごめん。私ね……好きな人がいるの」

瑠夏ちゃんは少し照れくさそうにはにかむと、なぜかそこでうつむいてしまった。

「理由があってまだ告白できてないから、私の片想いなんだけど。なかなか会えないし……連絡もあんまり取ってなくて」

顔を上げて悲しそうに笑う瑠夏ちゃん。

そう、なんだ?

瑠夏ちゃんの片想い……。

好きな人がいるんだ。

それって水野君じゃなくて?

でもこの言い方だと、ちがうっぽい。