目の前がボヤけて視界が歪む。私だってこんなことは言いたくない。信じたくない。

「蒼が、なんだよ?」

水野君の声と顔色が変わった。

ごめんね、蒼君。

きみが必死になって隠そうとしていたことを、もう隠しきれない。私には、無理だよ。

「ずいぶん前に、発作を起こして倒れたの。それからずっと意識が戻らなくて……今も入院してる。でも……もう、危ないかもしれない……っ。瑠夏ちゃんも、泣いてた……ううっ、ひっく」

顔から血の気が引いていく。涙が頬に流れた。

「ウソ、だ……」

「もう、会えなくなっても、いいの……? 伝えたかったことが……あるんじゃないの? 蒼君は、待ってるよ。きっと、水野君を待ってる……」

頬に流れた涙を手の甲で拭う。

「ウソだろ……? 蒼が、危ないなんて……」

「蒼君は……次に倒れたら命が危ないってわかっていながらも……密かにサッカーを続けてたんだよ。それで、練習中に倒れたの……!」

水野君はこれでもかってくらいに目を見開いて、明らかに動揺していた。

「俺の、せいだ……俺があんなことを言ったから……そこまであいつを、追いつめてたなんて……」

「それは、ちがうよ。水野君のせいじゃない」