「はぁはぁ」

全速力で校舎の中を駆け抜ける。へんな汗がたらりと流れ落ちた。

「はぁはぁ……く、苦し」

慌てて靴に履き替え、私は迷わずグラウンドに向かった。そこで佐々木君たちと一緒にいる水野君のそばまで駆け寄る。

水野君や佐々木君の周りにはほかのクラスの女子もたくさん集まっていて、私はそんな女子たちの群れをかき分けながら進んだ。

「はぁはぁ……み、水野君……! お願い! 私と一緒に、きて!」

苦しくて言葉が途切れ途切れになった。

「は? なんだよ、いきなり。そんなに慌ててどうかしたのか?」

「い、いいから……っ!」

わけがわかっていない様子の水野君に、詳しく説明している時間はない。とにかく一刻も早く行かなくちゃ、取り返しがつかなくなる前に。今行かなきゃ、絶対に後悔する。

「なになに? 告白?」

「なんか必死っぽくて笑えるんですけど」

「っていうか、怖くない?」

「俺、これから試合なんだけど」

「そ、そうだけど……! 時間がないの! はぁはぁ……っ」

「どこに行くんだよ?」

「病院」

「は?」

「だから、病院だって……! 瑠夏ちゃんから、電話があったの。蒼君が……蒼君が……っ!」