「金輪際、その顔を俺に見せんな!!!」

あたりにも響く程の大声。

「わざわざ、こんな所にまで連れてきて 言うこと?

……馬鹿みたい、こっちこそ 願い下げだから。」

頭にきたらしく、私の彼氏 "月波透哉" は私の胸ぐらを掴んだ。

「もう辞めなよ。
そんなこと、しないほうがいい。」

周りの制止の声を受けて、手を離した彼は

「クソッ!!!」

と近くにあった何かを蹴飛ばした。

「じゃあ、私 帰るから。」

倉庫を出た私。

「今日、雨が降るなんて 言ってたっけ……」

土砂降りの雨。
数メートル先は もう霧のようで見えない。

私の頬を水が伝う。
暖かいような気もした。

あぁ、なんでいつもこんな風になっちゃうんだろう。

こんな喧嘩がしたい訳じゃないのに……。