掃除の終わりのチャイムが鳴り、皆一斉に教室へ向けて歩き始める。

帰りのホームルームも終わり、わたしは急いで荷物をカバンに詰めた。

時計を見ると、16時を指していた。

「じゃあ、また後で!」

健一くんに声を掛けつつ、わたしは教室を後にした。




早く歌いたい、それだの思いが、わたしの脚を動かした。

5分…、10分と走り、やっとの思いで家に着いた。

玄関に靴を脱ぎ捨てて、自分の部屋へと入る。

そしてカバンをベッドへ放り投げ、クローゼットから適当に服を出して…。

と、そこではたと手を止める。

一瞬考え、また別の服を取り出し着替えた。

素早く終えたわたしは、机の上にある財布とスマホを肩掛けのバッグに入れて、玄関を出た。

ドアの施錠を確認し、軒下の自転車に跨り駅へ向けて走らせた。