「えっ…?」

音のした方を振り返って見ると、灰色の煙が上がっていた

私は無意識に音のした方へと走っていた


月光の森は魔物が多いけど、基本的に静かなんだ

こんな風に大きな音が響くようなことは絶対に起らない


何が起きているの?


不安が胸に広がる



やっとの思いで煙の上がった場所へ到着した

そこには怒り狂ったリンドブルムと、肩に大きな傷を負い血を流している少年がいた

少年は傷が深いのか、とても辛そうに顔を歪めて側の木に寄りかかって座っている


え、え、え、どういう状況⁉︎

でも、とにかく…!


私は全力で走り、少年の元へ

「大丈夫ですか⁉︎何があったんですか⁉︎」


少年はゆっくりこちらを見て、


「…大丈夫だ。問題、ない…っ」



…この人、バカなのかな?

いや、ね
大丈夫ですかって聞いたのは私だけども

普通、その傷で意地張ります⁉︎

っと、その前に


この子をどうにかしないとね


リンドブルムは頭を振りながら、大きな翼をバザバサと動かしている

その大きな翼に目が止まった

骨でも折れてしまったのだろうか
動きが鈍い


私はリンドブルムの前へと歩み寄った


「…おい!なにしてんだよ!危ねぇぞ!」

後ろから焦った少年の声が聞こえた

その声に私は「大丈夫」というように、振り向いて笑ってみせた


「リンドブルム…辛かったでしょう?でも、安心して。私がその翼を、また大空を飛べるように治してみせるから!」