出会った日のことは、正直あまり覚えていない。

あの時、私は人生の底で、この世界に息をする意味も忘れていたから。

独りで、独りぼっちで、もう孤独に慣れて、希望なんてなかった。


「君が、面接を受けに来てくれた、ええっと……」

「中井です、中井雪です」

「ああ、雪ちゃん、ね。本当に雪みたいに白いね、肌」

店長は、そう言うとくしゃっと笑った。

「はあ……」

正直、セクハラ発言だと軽蔑したし、それと同時に馴れ馴れしい人だとも思った。

若干素が出そうになったが、私は気を持ち直してすうっと息を吸った。


「じゃあ、まずは自己……」

「あの!」

久々に出した私の大声を聞き、店長は口を噤んだ。

私は店長の顔を見て、ほんの少しだけ怯みそうになったが、勇気を出して、

「私は、高校生です。でも、家族も住む所もありません。私は一人で生きなきゃいけないんです。だから……どうしても、雇ってもらわないと困ります!」

と、早口で言った。