「読書が好きですね。あと、実は甘いものが好きで…」

恥ずかしそうにはにかむ先生。

先生、それは反則です…!!

さっき引き締めた顔は何処へやら。
一瞬で崩れ去ってしまった。

そんな葛藤を知ってか知らずか茜音は

「甘いものなら千星も好きだよねー!おすすめとか教え合いっこしたら良いじゃん!」

と言った。


茜音ナイスアシスト!でも違う、今は違うの!うまく話せないから!嬉しいけどそれは耐えられない…!

「そうなんですか!是非教えて欲しいです!」

目を輝かせて子供みたいに話す先生に胸がキュンとしたのを感じる。

「ぜ、是非!私も教えてほしいデス!」

声が上ずった気がするけどこの際気にしていられない。
受け答えできただけでも褒めてほしい。


「あっ、そろそろ職員室に戻らないと。すみません、今度教えてくださいね。あと、あまり遅くならないように、気をつけてお帰りください。」

ペコっとお辞儀をして教室を出て行く先生をいつまでも見つめていた。

「共通点あるじゃん、よかったね。」

そう言われて改めて嬉しさがこみ上げてくる。




ちょっとのことで嬉しくなったりドキドキしたり…恋って楽しい!
もっと先生のこと知りたいな…


その日の自宅までの足取りはとても軽く、このまま飛べるんじゃないか、なんてことを考えてしまうほどに浮かれていた。