「はい、これ。熱いから、気をつけて」
お母さんが差し出したのは、温かいスープ。紗南が熱を出して看病しに行った時に、紗南によく作っていたものだ。
「ありがとうございます……。いただきます」
ふぅっと息を吹きかけて、丁度いい温度にしてから口へ運ぶ。
「……美味しい」
「良かった。紗南が好きだから、和彩ちゃんも好きかと思って。それより、どこか痛い所ある？」
「頭、痛い……。それ以外には何もないです」
私がそう言うと、お母さんは手際よく鞄の中から頭痛薬を取り出した。
「これ、和彩ちゃんにあげる。よく効くから、飲んだらゆっくり休んで。紗南も和彩ちゃんがお見舞い来てくれるの待ってるわ」
「スープに、頭痛薬まで……。本当にありがとうございます」
スープを飲み終え、薬を飲んだ。