大学内に入ると即バレ。
私ってそんなに目立つんだろうか。



挨拶を済ませ簡単な打ち合わせをしてその後セミナーが開始される。
一番大きな教室が用意されていて、生徒は皆ギリギリまで先生が講師だと聞かされていた。



相変わらず好きよね、こういう展開。
先生の話、楽しみにしてる生徒も絶対居るのに。
私も当時はその1人だったから。
先生に負けない話が出来るかなんてもっぱら自信ない。



どしどし押し寄せる生徒の数。
無理やりセッティングされ不安の中、セミナーは開講した。
悲鳴に似た声でびっくりする女子たち。
泣き出す子もチラホラ。



「本物っ!?」



「はい、歯科医師の槙田芹です。本日講師を務めさせて頂きます、宜しくお願いします」



ハンドマイクを通して自己紹介すると大歓声に包まれた。
先生も嬉しそうに笑ってる。
後ろの方に座っていた生徒たちは続々と前の空いている席へ。
噂を聞きつけた歯学部以外の生徒も覗き見している。



ちゃっかりビデオカメラまで回されてるし。
もう最初に比べて緊張しなくはなったけど学生相手だと話が脱戦しがちで軌道修正してもテーマに沿った話が最後まで出来ない事はザラだ。