「彼は……彼は中へ入らないのですか?」


窓の外を見ていたシェリルは、思い出したようにレオンに振り向いた。


ダーモッドの名前を覚えていないシェリルは彼と言った。


「彼とは?」


「あたし位の年の男の子」


座った場所から従者と彼の後姿が窓から見えた。


「あぁ、名前はダーモッドだ。彼のことは気にしないで良い」


気にしないで良いと言われるとシェリルは顔をしかめた。


「どうした?」


「外は……寒いから……」


ダーモッドがヴァンパイアの使い魔だとは知らないシェリルは、彼の身体の心配をしている。


ダーモッドやアメリアにとって気候は関係ない。


「シェリルは優しいな」


レオンにそう言われたシェリルは頬をポッと赤く染めた。