「噛むのはやめるんだ」


どうしてわかったの?


真っ暗で見えるはずが無いのに……。


「いろいろ考え悩むのは良くない。何も考えずに眠るんだ」


瞼にレオンの手のひらを感じた。そう思った瞬間、目が自然と落ちシェリルは再びすーっと眠りに落ちた。


******


翌日、シェリルが起きた時にはレオンはいなかった。


木枠に見事な意匠が彫りこまれた縦型の窓から、眩しい木漏れ日が差し込んでいる。


シェリルはハッとし、やっとのことで上半身を起こす。


「うっ……はぁ……」


身体を起こすだけで体力が奪われる気がする。


しかしそんなことは言っていられない。


本当に歩けないのだろうか。足を床に着けたい。


もし着くことが出来れば歩けるような気がした。