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『アメリア、ホットミルクの用意を』


「はい。レオン様」


アメリアは頭の中で聞こえたレオンの声に返事をした。


側にいたダーモッドが何を頼まれたか興味津々の顔をしてみている。


「ご主人様はなんて言ったの?」


「ホットミルクだそうよ」


ご主人様が飲むわけが無いので少女の為だ。


「アメリア、毒を入れちゃいなよ。もう目障りだ」


レオンがシェリルの世話を飽きずにすることに嫌気がさしたダーモッドは不機嫌そうに言う。


「ダーモッド、黙りなさい!」


ダーモッドの言葉はレオン様に聞こえているかもしれない。


今の興味の対象は少女なので聞こえていない可能性もあるが。


そんな事を言ったと知られればひどいお仕置きをされてしまうだろう。


アメリアがこれまで知るレオンは冷酷なヴァンパイアの王子なのだ。