どうしてエミリオ様はアシーネ様を怒るの……?


ティナはレオンを不安そうに見た。


エミリオに冷たく言われたアシーネはティナの元へ来た。


「貴方の為にレオン様は大変な目にあっているのよ?わかっていて?」


ヴァンパイアになったと言うのに目の前の少女は純真無垢に見えた。


毒々しい女の色気は見えない。


「あたし……」


ティナはいきなり怒りの矛先を向けられて困った。


「アシーネ、ティナちゃんは何もわからないんだ。責めるのはやめろ」


エミリオが釘をさす。


「わたくしも温かい目で見守っていたわ。レオン様が貴方を選んだのならそれも良いと考えた。でも貴方は何も知らないままこんなになるまでレオン様の血をむさぼった」


自分がやってしまったことはアシーネに言われなくてもわかっていてティナは後悔していた。


レオンが倒れたのは自分のせいだ。


レオンがこんなになるまで飲んでしまったなんて……。


「アシーネ、やめるんだ!」


エミリオが声を荒げるとレオンの瞼が開いた。