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「レオン閣下、このたびはおめでとうございます」


王の台座に座ったレオンにエミリオが近づいて晴れやかな挨拶をレオンにした。


「堅苦しい挨拶はやめろ。面白くもない」


エミリオの挨拶にも辛らつに答えるレオン。


レオンの機嫌が良くないとは思っていたがこれはひどいな。


長い時を一緒に過ごした親友はレオンの顔を見て参っているらしいと悟った。


さすがのレオンも疲れているようだ。


無理もないか……ガナンシア王が亡くなって、通例どおりすぐに戴冠式だ。


「ティナちゃんを城へ連れてきていると聞いたけど?どうしてレオンの隣にいないんだい?」


レオンの伴侶として隣にいるべきティナがいない。


「ティナは……」


周りにいるヴァンパイアが好奇心の塊の目で見ている。


ここで話は出来ない。


「部屋に行こう」


レオンは席を立つとタイラーに軽く頷き、後ろの部屋の扉を開けた。


後から付いていくエミリオは何か嫌な予感がした。