「ご主人様、辺りに獣の臭いが漂っています。それもかなり多く」


アメリアの指摘。


レオンもそれはわかっていた。


「大丈夫だ、私がここにいる限り、奴らは何も出来ない」


レオンはイスの背もたれに身体を預けた。


「昨日、ティナ様が見た男が操っているのでしょうか?」


「それはまだわからない 警戒しておくことに越したことはない。ダーモッドにも気をつけるように言っておいてくれ」


「はい」


アメリアが一礼すると、一つに三つ編みに結んだ髪がパサリと前に動く。


「それと、ティナに付いていて欲しい」


「かしこまりました」


アメリアは音も無く執務室を出て行った。