レオンの意識はティナにしか向けられない。


カサンドラはそのたびに悲しそうな顔になりティナは胸が痛んだ。


カサンドラさんはレオンが好きなんだ……。


だからここまで来たのだろうが。


ティナは話をしたくても共通の話題がわからない。


共通といったらレオンのことしかない。


「ティナ、ここのケーキはおいしいらしい。食べられるかい?」


「もうお腹いっぱいです。きゃっ!」


そう言って微笑んだ時、ティナの脇を通った紳士が足を取られたように倒れ込んできた。


華奢な身体にぶつかり、自由を失ったティナは肩から床に落ちてしまった。