「ご主人様~。そんな小娘。おいしくないですよ?」



石畳に倒れている少女と同じような年に見える少年は、自分が仕えている主人が少女を抱き上げるのを見て慌てて言う。



「ダーモッド、私に意見するのか?」



少女を抱き上げた青年は、ダーモッドを見る。



その深紅の眼差しは、背筋が凍りそうなほど冷たい。



「い、いえ……」



でも……こんな娘じゃ色気もあったもんじゃない。



ご主人様はこんな娘に食指を動かされるはずがない。



主の圧倒される視線に、眉間から冷や汗を流しながら少年は首を振った。