仕方なく夜会に出席したレオンは退廃的な気分で葡萄酒を片手に目の前のエミリオと彼の婚約者アシーネを見ていた。


「レオン様?いつものようにわたくしに触れてはいただけないのですか?」


そう聞いてくるのは長椅子に座っているレオンの横にいるカサンドラと言う女。


レオンの妃候補。


腰まである長く燃えるような赤毛とエメラルドグリーンの瞳、誰をも魅了させる妖艶な肢体。


美しさはこの世界でもトップクラスだろう。


けだるげなレオンの視線がゆっくりカサンドラに移る。


今までカサンドラが傍にいたことさえ、わからなかったように思える。