しかし衝撃はやって来なかった。


ティナはおそるおそる顔を上げた。


あんなにいた狼はどこへ消えたのか一匹もいなかった。


「お前も操れるのか!?」


男が悔しそうにレオンに叫ぶ。


「当たり前だ。私を誰だと思っている?」


片方の眉を上げたレオンは挑戦的に言い放つ。


「くっ、」


男の喉の奥で悔しそうな声が出た。


「遊びは終わりだ」


静かな辺りにレオンの声が残酷に響いた。