落ち着くように言うがティナは聞く耳を持たずにぶるぶると震えていた。


レオンは心の中でため息を吐いた。


早くしなければティナの心が恐怖で砕け散ってしまうかもしれない。


レオンは一瞬目を閉じた。


「いくらヴァンパイアの王子と言えども餓えた狼どもには勝てやしない」


男は勝ち誇ったように声を上げた。


「僕共(しもべども)!襲え!」


男が狼にレオンを襲うように命令した。


「きゃーっ!」


その言葉にティナは頭に手を置いて体を縮こまらせた。