「触れるな!お前ごとき者がティナに触るとは……」


レオンの声がして、男を見まいと下を向いていたティナは頭を上げた。


「レオンっ!」


突然ヴァンパイアの王子、レオンが現れヴァンパイアの男も驚いた。


王子の後ろにも目をやればもうひとり、銀髪で紅い目の男が立っている。


「ティナ。悪い子だ。私から逃げようとするとは」


そうだった……あたしはレオンの元を離れようとしていたんだ。


レオンがゆっくりとした足取りで男とティナに近づいてきた。


男は恐怖におののきながらも、大事な極上の獲物を取られまいとティナの腰に腕を回し荷物のように担ぎ上げる。