レオンの血の匂いがティナの血の匂いと混ざる。


エミリオの頭はくらくらして来た。


そこへアメリアが葡萄酒を運んできた。


レオンが葡萄酒の瓶を手にすると、足の長いグラスに優雅な仕草で注ぐ。


「これは葡萄酒と動物の血が混ざっている」


グラスをひとつエミリオの前に差出し、レオンはグラスを口に運ぶ。


「動物の血?なぜ人間の血ではないんだ?」


エミリオの問いにレオンが失笑する。


その疑問には答えられない。


ティナへの愛を知ってからは他の人間の血も動物の血も同じに思える。


私はティナの血が欲しいのか……?


いや、違う……ティナの心が欲しいのだ。