「この前もさっさと城を離れたと王がご立腹なんだ」


「で、様子を見て来いと?」


手は果物ナイフをいじっていてそれを自分の指に当てている。


指からツーッと真紅の血が流れる。


「レオン?」


自分の指を何の表情も変えずに傷つける友人に恐ろしさを感じる。


そして傷口を口元に持っていく。


「シェリルではない。記憶が戻った。名前はティナだ」


突然話が変わり、エミリオは面食らう。