「レオン様、何か着なければ寒いです」


また「様」を付けたことにレオンは心の中で笑い、あきれる。


「大丈夫だ」


レオンが言った言葉にシェリルは小首をかしげた。


どうして大丈夫なのだろう?外はとても寒いのに……。


そう言いたかったが、なんとなく聞けなかった。


廊下を進み、庭に出られる大きなガラスの扉をレオンは開けた。


雪はすぐにシェリルとレオンの頭を濡らした。


手を伸ばし雪の冷たさを確かめるシェリルは小さな子供のようだった。


実際、記憶が無いシェリルは子供のようなものだろう。


その子供のようなシェリルの唇にレオンは指で触れた。