「帰れ、シェリルのことは忘れろ」


レオンはもうサンノーゼを相手していなかった。


ベッドの上で意識のないシェリルの上にかがむ。


「そう……王子がそう言うのなら引き下がるよ。極上の獲物を見つけたんだね。おめでとう」


サンノーゼの言葉にレオンが振り向く。


その瞳は怒りに燃えているように赤い。


「獲物ではない!」


睨みつけるレオンにサンノーゼは引くことなく言葉を続ける。


「僕は引き下がっても他の奴らはどうなんだろうね。彼女の血は近くのヴァンパイアの興味を引いたよ。僕だって遠い所から来たんだ。彼女の匂いにつられて」


床に落ちているナイフを拾う。


そしてシェリルの血がついたナイフをきれいに舐めとると、床に放り投げた。