暗闇の中、レオンを乗せた馬車は屋敷に向かっていた。


レオンははやる気持ちを抑え、目を閉じていた。


舞踏会で美女と踊っていても、庭に出て戯れても考えるのはいつの間にかシェリルのことを考えていた。


目を閉じていたレオンは眉根を寄せた。


これは……シェリルの血の匂い……?


胸騒ぎがする。


なぜシェリルの血の匂いが……。


そこへ突然馬車の窓の外にアメリアの使い魔のこうもりが現れた。


ばたばたと羽を動かし、その場に留まり赤い目でレオンを見ている。