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シェリルはレオンに抱き上げられ、エミリオを見送った。


馬車が小さく見えなくなるまで手を振っているシェリル。


「帰ってしまって寂しいのか?」


不意に聞かれてシェリルは目をぱちくりさせた。


「レオン様……そうかもしれません……楽しい方だったので」


シェリルの言葉は硬い口調だった。


「これからは私のことはレオンと呼ぶように」


唐突に言われ、シェリルは空色の瞳をレオンに向けた。


「えっ?」


「これからは敬語を使わなくていい」


「そんなこと出来ません」


レオンの腕の中でシェリルが大きく首を振る。