「エ、エミリオ様 手は大丈夫ですか?」


「ありがとう。シェリル。ちょっと力がはいってしまったみたいだ」


心配するシェリルに微笑むと、ポケットから真っ白なハンカチを出しで赤く染まった手を拭いた。


グラスを割ったレオンはと言うとソファに背をもたせ、シェリルの豊かな淡いブロンドの髪をゆっくり梳いている。


そんなレオンにシェリルははにかんだ笑みを浮かべている。


ふたりの雰囲気を見てエミリオは片手を額に置いた。


まいったな……。


熱々じゃないか。まるで恋人同士みたいだ。


いや……まだ恋人同士ではないな……。


レオンがエミリオの考えを読み取ったように口元に笑みを浮かべた。