あの時は優しい人だなって、思ってたけれどな…

ちょっと肩のチカラが抜けてしまった…

「恥ずかしがり屋さんなのかなあ?、彼…」

私を見て理恵先生は、優しく微笑んで言ってくれた。

「…」

私は、小さく頷くと、理恵先生にお礼を言い、保健室を後にした。

小走りで廊下を進んで、急いで階段を5階まで登ると、5組、4組、3組、2組の順番で、誰もいない教室の前に貼り出されていた席順を探した。

けれど

どの組にも渡部くんの名前は無い…

私はその場所でたちすくんだ。

しばらくしてからまた、1組の席順を見直して、渡部くんの名前を無意識に探していた。

知っている名前が3人、愛原、片平、そして柚木

何回見ても名前が変わることは無い、もう一度戻って、他のクラスの席順を見ているうちに、みんなの名前がだんだん崩れて、象形文字の様になってきた。

やっぱり

渡部くんはいない

なんだ、いないのか

いないんだ

なんで?…

なんで!…なんで!?

なんで!……なんでよッ!……う

…うッ…うッ……。。。…


悔しさと悲しさで

止めどなく溢れてくる涙…


『 うわ~~ーーッ!!! 』


私はその場で泣き崩れてしまった。