ガラガラガラ、という音に振り返る私と元輝。


「こんにちは。いい感じのところすみません。」


不思議に思って元輝を見ると、心なしか顔が赤い。

ふたりっきりが恥ずかしかったんだよね。


「西野さん。これ、さっきの授業まとめたノートです。」


「え!!ありがとう!」


「もう大丈夫なんですか?」


「うん、元気になった!ありがとう!
窪田くん、なんで敬語なの?」


「癖です。」


「癖!?」


「次の授業あるので教室行きましょう?」


「うん!」


私は起き上がって立ち上がろうとしたけど、ふらついてしまった。


「大丈夫ですか?」


こける前に、窪田くんが支えてくれたらしい。
心臓がとくとく言う。


「あ、りがとう」


「どういたしまして。」


そう言って窪田くんは私の手首を握ったまま教室へと歩き出す。

心臓はスピードを上げる。

窪田くんってもしかして天然だろうか。

恥ずかしい...



ちっと舌打ちした元輝には誰も気づかなかった。