「水沢、大丈夫か?」

「う、うん」

私はいつの間にか学校の自分の席に座っていた。

気づけばもう三時限目になっている。

「いや、大丈夫なわけないか。……先生、水沢さんが具合悪いそうなので保健室に連れて行きます」

宮沢君は私の腕を持って立たせた。

「……宮沢君?」

「いいから行くぞ」

宮沢君に引かれるがままに教室から出た。

連れてこられたのは前、宮沢君とご飯を食べたあの空き教室だった。

「水沢、何があった?」

そんなことただ和海が浮気しただけだ。

「……なんにもない」

「俺だって馬鹿じゃない。水沢に何かあったことは分かるし、好きな女の相談くらいはしたい」

宮沢君のまっすぐな想いが今は痛い。

それに答えないと自分が最低の人間になるような気がするから。

「和海のこと」

「ああ、それがどうした?浮気か?」

浮気………分かっていたことだ。

けれど、自分で認めるのと他人から言われるのには大きな差がある。