私達は図書館へ行った。

「これかな」

「あぁ、そういうのいいかも」

漁っていると、色々な本がみつかって、思い通りの本がみつからない。

「あんな話、もう少し簡潔に出来ないかな」

「そんなの、俺達で考えればよくね?」

加藤くんが手を動かしながら答える。

「ダメだよ。もし、変なところ割愛しちゃったら、ストーリーおかしくなっちゃうし」

「そっか……」

加藤くんが何時にもなく真剣な顔をする。

「あ、これ…!」

加藤くんが本を開く。

「これだよ!挿絵もある!」

「あぁ!ホントだ!」

2人で本をパラパラめくる。

「おい、そろそろ図書室閉館なんですけど」

横から、トーンの低い声がした。

「あ、すみません……あれ?」

そこにいたのは、会長だった。

「会長?どうしてここに」

「図書委員から会計報告書受け取りにきたついでに、本を借りようと思ってな」

会長は無表情のまま話を続ける。

「あ、なに借りてんだ?ロミジュリか、あれはいい話だぞ」

「知ってるんですか?!」

「いや、知ってるもなにも、俺達やったからな」

「え?」

どういうこと?

「2年前の演劇祭。俺が1年生の時に、やったんだ、ロミジュリをな。それも、俺がロミオやったんだぜ?顔だけはカッコイイって言われてたからな」

「あの、会長!その話!詳しくきかせて下さい!」

「おう、いいけど」

突然大きな声を出したもので、少々驚いている会長。

「やったー!」

私は加藤くんにハイタッチを求める。

「あ、おう」

加藤くんは察してくれたようで、ハイタッチをした。

「こら、図書館では静かに」

「あ、はい」