「えっ……」

なんで…?

「奏と快人とも一緒なんだろ?」

「お兄ちゃん……?」

「恋咲ちゃん、どしたの?」

加藤くんが私の横に来た。

「あれ、俺この人見たことある」

「私の、お兄ちゃん」

玄関口で話していると、お兄ちゃんがドアに手をかけた。なんと言えばいいかわからないが、壁ドン状態だ。

「入るぞ」

お兄ちゃんは私の横にいる加藤くんのことを押しのけて中に入っていった。

「恋咲ちゃん、あの人って不良総長だよな」

加藤くんが問うようにきいてくる。

「そうだよ」

私は中に入りながら答える。

「恋咲、やっぱりやめようぜ?」

やめる、と言うのは恐らくこの部屋をやめろと言うことだろう。
この学校は寮制ではあるが、強制ではない。また、嫌なメンバーがいた場合届けを出せば部屋を違うのに変えられる。女子専用寮にも届けを出せば行ける。

「それは無理な話だぜ恋咲兄」

「は?」

お兄ちゃんがイラ混じりの声で答える。

「恋咲ちゃんはここに居ねぇといけねぇんだわ。碧くんもだけどよ、みんな反対するぜ、絶対にな」

「はん!そんなの力づくだ」

少しピリついてきた。

「力づくで誰が納得すんだよ恋咲兄!」

少し煽るように言う加藤くん。喧嘩を売っているのか?

「ちょ、やめなよ二人とも!」

とにかく、やめさせないと。

「私はやめないから」