どうして裕也がここに?
ここは私の、私と南くんの秘密の場所だったのに。
どうして裕也が__?
「俺が気づかないとでも思ったか?」
その声はだがしかし、とても優しかった。それが逆に私の心を震え上がらせる。
「仮病だよ」
「えっ?」
「仮病。風邪を引いた振りをして、お前の様子を探ってた。でもどうやら学校の外じゃ、おかしな素振りはない。となると、原因は中だ。俺のことを見ているようで、見なくなった原因がな」
返す言葉がない。
全部、バレていた。
裕也には何もかも、お見通しだったんだ。
「そしたらどうだ?使われてない理科室にしょっちゅう入り浸っているじゃないか。それでも俺は、渚のことを信じたよ。ここに来るのは、ちゃんとした理由があってのことだってな」
「__裕也、あの、私」
「なんだ?」
シャッターを下ろしたように、裕也の顔から微笑みが消えた。
「なにか言いたいことがあるなら、聞こうか?」
聞くだけ聞く。
その後、どう料理するかは俺の自由だと、その口調に含まれている。
もう私には、弁明する気力もない。
なにを言ったところで__私は虐げられる。
それなら1つだけ押してほしい。
たった1つだけ。