チクリと、胸が痛む。


分かってるよ。


分かってる。


あんたを好きでいても、
あたしにはどうすることも出来ないもの。


松田くんとあたしが付き合えば、
あんたは楽だもんね。


何も心配することなく、
麻美さんを好きでいられるもんね。



あたしがあんたを好きでいたら、
迷惑なんだもんね。






「……そう、だね」



あんたがそう言うなら、あたしは……。








「松田くん。よろしく、お願いします」








「マジで?百瀬」


「うん……。あたしで良かったら」


「やった!俺、絶対百瀬のこと
 幸せにするから」


「うん。ありがとう……」



松田くんが嬉しそうに笑う。


この笑顔を、あたしは好きになれるのかな。


本当にこれで、良かったんだよね。





この気持ちは、しまっておいたほうがいい。


あたしが自分で言ったんじゃない。


家族とどうこうなんて、なれるわけがないのよ。



あたしだって妹になるんだもの、あと三か月。


あと三ヶ月でこの想いを消さなくちゃ。


そのためには、違う幸せを掴むしかないんだから。