少し小さめの声で、
そっと声を発して家を出た。
雲行きが怪しい。
また雨、降るのかな?
降り出したらどうしようと不安に思うけれど、
あたしはサンダルを引きずってゆっくり歩いた。
夜は肌寒い。
ショートパンツでこなければよかったかもしれない。
腕をさすりながら歩いていくと、
コンビニの明かりが見えた。
微かに雨の匂いがする。
なんとなく寂しくなって後ろを振り返った。
今ごろあの二人は何をしているのかな?
お母さんやパパは楽しんでいるのかな?
なんだかあたしだけ独りぼっちな気がして悲しかった。
『松田と付き合えば?』
さっきの橙輝の言葉を思い返すと
イライラする。
確かに松田くんは面白そうだし
優しいのかもしれないけれど、
付き合うなんて考えられない。
松田くんを好きになる可能性はゼロじゃないけど、
限りなくそれに近い。
だってあたしは。
「橙輝が好き……なんだもん」
ポツリと言葉を落とすと、
ドン、と誰かにぶつかった。
「おい」
「いったぁ……」
しりもちをついてその場に倒れ込む。
あたしは恐る恐る顔を上げた。
そこに立っていたのは、少し
ガラの悪そうな男の人が三人。
顔から血の気が引いていく。
やばい、変なのにつかまってしまった。